2022年夏季ニホンザル調査

コロナ禍により、3年あまり脇野沢地区、川内地区のニホンザル調査を行うことができない状態がつづきました(注)。
また、バンガローも閉鎖となってしまいまして、以前のように大人数集まって山に入るということもできなくなっています。
今年は、コロナ感染に最大の注意を払いながら、少人数によるニホンザル調査を行うことができました。
注)個人単位の補足調査は通年行われています

調査期間と範囲

確認できた群れ: 脇野沢地区(O群、A87群、A84群)、川内地区(M2B群、安部城北群、ほか) その他の遭遇動物:クマ、アナグマ、カモシカ、テン、イイズナ、オオルリ、猛禽類 ほか多数

   

   

【個人的所感】

具体的な調査内容は、今後まとめられるNPOニホンザルフィールドステーションの報告書をご覧いただくとして、 コロナ禍による大規模な調査が行われなかったこの3年間、昨今の自然災害による山道や沢の変化、 計画伐採による周辺の変化(植生の変化)は、久しぶりに山へ入った人間にとっては大きな変化に移りました。

   

例えば、以前は、山のサルと位置付けていたO群がより民家に近く出没していたり、畑に執着するようになったり、十年前と比べサルの行動範囲がかなり変わってしまい驚きを隠せませんでした。

   

現在、畑を荒らすサルは、花火やモンキードックなど使用したり、どうしようもない場合は捕獲するといった対応が主になっているとおもいます。

   

過去、脇野沢地区の畑を荒らし続けた84群、85群を頭数調整として捕獲してきていますが、結果、捕獲されてサルがいなくなった空間に、別の山のサルの群れが南下してきてしまったようです。
この結果は残念なことに、住民にとってはせっかく捕獲したのに、次から次へと新たなサル畑にきて悪さをするので、(学術的に群れの種類は変わりますが)何も変わらないのです。
では、すべてのサルを捕獲すればいいのか?といえば、地理的にも、周辺に生息するすべてのサルを捕獲するようなことは技術的に難しく、なにより、捕獲対象が天然記念物指定であることから、行政的にも捕獲根拠を明確に提示する必要があり、安易に対応できないのです。

   

以下、筆者個人の勝手な意見になり恐縮ですが、、、、
日ごろ、獣害対策に従事されている管轄行政の皆さまや、野生動物の生態調査を主とするアカデミアの皆さまに置かれましては、是非ともこのような事例を集積し分析評価いただき、捕獲が優位に費用対効果があるケースとそうでないケースを分類していくことが可能かどうかご検討いただけないものでしょうか?
おそらくこの情報は、全国の獣害に悩まされている自治体にとっても有用になるのではないでしょうか?
また、例えばITを導入することで、住民が庭などでサルを発見次第、アプリで報告というような・・・猿害対策員が今より駆け付けやすくするといったシステムを産官学連携で開発してみるなど、新規事業展開を視野に入れた対応を検討するのはいかがでしょうか? →このシステム、もしかしたら日本全国の獣害対策地域にウケそうですよね?(笑)

   

今までのやり方はしっかり踏襲しつつも、このようなご時世ですから、あえて新たなビジネスチャンスという視点を入れ込むことで、もしかしたら行政側の負担軽減やアカデミア・ベンチャーの新規参入推進とそれにかかる人材雇用拡大につながることもあるのでは?と思いました。



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