ミツバアケビの実

ミツバアケビ   アケビ科 アケビ属

つるが丈夫なので、籠などを編むのに使われるアケビは、日本人にはポピュラーな名前にもかかわらず、実際に自生する姿を見たことがない人が増えている。スーパーマーケットの陳列棚に並ぶアケビの果実は、都会暮らしの人には、ふっと郷愁を誘うようだ。そんな日本列島の山野に生えるつる性落葉低木のアケビを、サルが見逃すはずがない。

アケビを食べるサル

山々が色づき始めるころ、ミツバアケビの長楕円形の果実は、熟し紫色を帯び、大きく縦に裂ける。白い果肉は、黒色の小さな種子を多く含むが、甘味がありトロッとした舌触りで絶品。一度食べると忘れられない味がする。人は種子を吐き出すが、サルは丸呑みする。味覚はサルも人も似ているのだろうか? サルは、厚い果肉を食べることもあるが、食の中心はあくまでも種子を包む甘い部分。美味しいところだけを食べ終えると、後はポイッと捨ててしまう。四季折々、美味いものを贅沢に食べるサルの性格が現われる。

また、ミツバアケビの食としての利用は、何も秋だけに限ったことではない。一面の雪の中、落葉もせずに巻きついたまま残る3出複葉の葉は、色も褪せ萎びてはいるが、サルは見つけるや否や手を伸ばす。緑色が乏しい冬場の貴重な食料となる。春先、柔らかな若葉や巻きつく先を探す若いつるにも目がなく、口いっぱいに詰め込む。下北地方では、5月下旬ごろに黒紫色の花を多数つけるが、もちろんこの花も食べる。

ミツバアケビの花

文章・写真   松岡 史朗