2022年夏季ニホンザル調査
コロナ禍により、3年あまり脇野沢地区、川内地区のニホンザル調査を行うことができない状態がつづきました(注)。
また、バンガローも閉鎖となってしまいまして、以前のように大人数集まって山に入るということもできなくなっています。
今年は、コロナ感染に最大の注意を払いながら、少人数によるニホンザル調査を行うことができました。
注)個人単位の補足調査は通年行われています
調査期間と範囲
確認できた群れ: 脇野沢地区(O群、A87群、A84群)、川内地区(M2B群、安部城北群、ほか) その他の遭遇動物:クマ、アナグマ、カモシカ、テン、イイズナ、オオルリ、猛禽類 ほか多数
- 8月7日 天気予報は雨でしたが、そこそこ晴れ間あり。脇野沢地区(O群中心)と川内地区にわかれてそれぞれ調査開始。
- 8月8日 曇り空のもと、前日発見したサルを中心に調査。カウント結果もでてくる。
- 8月9日 雨、、大雨、、、河川は増水、林道は水浸し・・・。電波発信機が付いたサルが多くなり、車での調査もやりやすくなっているか?
- 8月10日 大雨、、止まず。ありとあらゆる川が「茶色」。ずぶぬれになりながらもサルの群れの動きを確認できた。
【個人的所感】
具体的な調査内容は、今後まとめられるNPOニホンザルフィールドステーションの報告書をご覧いただくとして、 コロナ禍による大規模な調査が行われなかったこの3年間、昨今の自然災害による山道や沢の変化、 計画伐採による周辺の変化(植生の変化)は、久しぶりに山へ入った人間にとっては大きな変化に移りました。例えば、以前は、山のサルと位置付けていたO群がより民家に近く出没していたり、畑に執着するようになったり、十年前と比べサルの行動範囲がかなり変わってしまい驚きを隠せませんでした。
この結果は残念なことに、住民にとってはせっかく捕獲したのに、次から次へと新たなサル畑にきて悪さをするので、(学術的に群れの種類は変わりますが)何も変わらないのです。
では、すべてのサルを捕獲すればいいのか?といえば、地理的にも、周辺に生息するすべてのサルを捕獲するようなことは技術的に難しく、なにより、捕獲対象が天然記念物指定であることから、行政的にも捕獲根拠を明確に提示する必要があり、安易に対応できないのです。
以下、筆者個人の勝手な意見になり恐縮ですが、、、、
日ごろ、獣害対策に従事されている管轄行政の皆さまや、野生動物の生態調査を主とするアカデミアの皆さまに置かれましては、是非ともこのような事例を集積し分析評価いただき、捕獲が優位に費用対効果があるケースとそうでないケースを分類していくことが可能かどうかご検討いただけないものでしょうか?
おそらくこの情報は、全国の獣害に悩まされている自治体にとっても有用になるのではないでしょうか?
今までのやり方はしっかり踏襲しつつも、このようなご時世ですから、あえて新たなビジネスチャンスという視点を入れ込むことで、もしかしたら行政側の負担軽減やアカデミア・ベンチャーの新規参入推進とそれにかかる人材雇用拡大につながることもあるのでは?と思いました。